「ピラニア3D」

問答無用の裸(女体)と人体損壊のエンターテイメント!
ストーリー?ドラマ性?そういうつまらないことで口を挟ませない。
ラニアが人々を襲う、という話にこれ以上どんなストーリーが必要だろうか?どんなドラマを展開できるのだろうか?
やるべきことはわかっている、ピラニアは容赦なく人々に喰らいつくべし。
ここを一切ぶらさずに描き切ったアレクサンドル・アジャ監督、他一同スタッフ、製作者へ万雷の拍手を送りたい!


オリジナルはおよそ30年前、ロジャー・コーマン製作、ジョー・ダンテ監督で作られた低予算B級パニックホラー「ピラニア」。スピルバーグ監督の「ジョーズ」のヒットを見越して、先手を打って作られたエピゴーネン
オリジナルでは、ピラニアは軍の生物兵器として秘かに研究室で飼育されていたのが川へ放流されてしまった、ともっともらしい。
アジャ版「ピラニア」では、ひょんな地震で閉ざされていた地底湖が口を開け、200万年前に絶滅したはずの元祖ピラニアが群れをなして出てくる。こういう訳のわからない凶暴な魚が、だって生きてたんだもん、と言い切ってしまう潔さ。
オリジナルでは低予算をカバーするために、軍が隠蔽を図るなどといったドラマで間を持たせていた風も見受けられるが(それはそれで低予算っぽいはったりで好きだが)、アジャ版ではそれは小細工とばかりに切り捨てる。


観客が3Dで観たいのは何だ?女の裸と血飛沫、もがれた手足に頭じゃないのか?
そして、それを見事に表現しきった。デビュー作「ハイテンション」の観客をモヤモヤさせるひねったオチに比べると、このシンプルな潔さ、これは成長と言っていいんじゃないんだろうか。
テンション、ということでいえば、前半の乱痴気騒ぎを、後半ピラニア大襲来の阿鼻叫喚へとテンションを保ったまま、いや、それ以上にしてスイッチングさせる辺りもうまい!
3Dで観なかったことが悔やまれる。

ピラニア [DVD]

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