アウトレイジのこと

余韻が残ってる。「アウトレイジ」の。
北野武監督新作、という響きにあまり反応しなくなったのは、おそらく「HANA-BI」以降。
それでも「監督バンザイ!」「TAKESHI'S」は地上放送オンエアで受け身的に鑑賞。
武作品はバイオレンスばかりを評価する訳じゃない。「みんな〜やってるか」のようなメタ的作品も嫌いじゃないのだ。
多分正確には、バイオレンスだけでもなく、ベタなギャグだけでもなく、北野武本人もどこかで言っていたように記憶するが、“振り幅”に惹かれている。フィルモグラフィの振り幅、一つの作品の中での振り幅。それはまた、バランス感覚とも言うのか。


観終わってから言うのもなんだけど、なんで無視してこれたのだろう。「アウトレイジ」。

黒塗りの車が列をなして走るカットだけでゾクッとする。
そこで入っていけない人が「ストーリーがどうのこうの」「バイオレンスがどうのこうの」批判的に言うのかもしれない、などと。


風景。ヤクの受け渡しをする住宅街、ラーメン屋の店内。
そう、店内。サウナ、スナック。無駄に動かない節度あるカメラが捉える室内、人物の配置、それらが醸す空気感が好き。


役者一人ひとりの演技の熱量が高い、と素人が果たして言ってしまっていいのか。
しかし、皆が北野武監督へのリスペクトを包み隠さず演技で応えているかのよう。


ああ、また観返そう。
そして「アウトレイジ ビヨンド」はぜひ劇場へ。